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ニューヨークの食にまつわる最新ニュースやトレンド情報をお伝えします。


by pecopecoshokunews
イタリアンワインから学ぶ、アメリカ市場参入の鍵!_d0142378_23271654.jpg1984年に設立された「イタリアン・ワイン・アンド・フード・インスティテュート」は、アメリカ市場におけるイタリア産の食品とワインの普及をサポートする非営利団体。70年代前半、アメリカでのイタリア産商品の消費量はとても少なかった。しかし、輸入ワインのカテゴリーにおけるイタリアンワインの消費量は次第に増加し、近年ではフランスを抜いて1位になるほどの拡大を成し得ている。「イタリアン・ワイン・アンド・フード・インスティテュート」の創設者、ドクター・カプートにインタビューをして、イタリア産の食品とワインのアメリカ市場参入の流れと参入に必要不可欠な要素を聞いてみた。


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Q;1972年にニューヨークのイタリア貿易コミッショナーに就任された当時、アメリカでのイタリア食品やワインの消費はどうでしたか?
Dr. Caputo: その頃、イタリアの食品とワインの需要は少なかったですね。しかし、ちょうどその当時、輸送方法が貨物船から飛行機に変わったため、船乗りだった多くのイタリア人がニューヨークでイタリアンレストランを始めたり、そこで働き始めた結果、本場の味がこの街でも味わえるようになりました。確かに、早い時期にアメリカに移民していたイタリア人達は、イタリアからの食材が手に入りにくかったために本格的なイタリア料理を提供するのに苦心していました。しかし、消費の増加に従って次第に食材の輸入量も増え始めました。

Q;イタリア産の食材、ワインのアメリカ市場進出を拡大するため、具体的にどのような活動をされたのですか?
Dr. Caputo:1975年から1982年の7年間、イタリア政府は広報キャンペーン活動を行いました。テレビ、雑誌、ラジオのコマーシャル、そしてワインのティスティングイベントなどを行ない、商品についての知識を高めてもらう努力をしました。その結果、ワインに関しては300万ヘクトリットルから2.400万ヘクトルリットルへと、7年間で8倍もの伸びを見せました。

Q;イタリアの生産者はアメリカ市場をどう捉えていますか?
Dr. Caputo: 「この国で成功すれば、他の国でも成功できる」という自信にもつながるとても重要なマーケットです。市場の規模にも魅力があります。そして、その中でもニューヨークという土地は生産者の関心を寄せています。世界からの注目を常に集めているので、広報活動を行なうのに最も効果的なのです。

Q:1984年に「イタリアン・ワイン・アンド・フード・インスティテュート」を創設されましたが、そのきっかけをお聞かせください?
Dr. Caputo:私がイタリア貿易コミッショナーを退職したのと同時に、イタリア政府はイタリア食材とワインのプロモーションを停止してしまいました。「アメリカ市場の開拓が成功したので、これ以上のプロモーションは必要ない」と判断したのです。でもそれは大きな間違いでした。結果として、プロモーションを停止した後のセールスは落ち込みました。市場への参入や一時的な販売が成功したからといって、プロモーションを辞めるべきではありません。販売する限りは継続してプロモーションを行なう必要があるのです。

Q:「イタリアン・ワイン・アンド・フード・インスティテュート」の活動内容を教えてください。
Dr. Caputo:ワインのテイスティングやセミナーを中心に行っています。一番大きなイベントは「GALA ITALIA(ガラ・イタリア)」と呼ばれる年に一度のイベントです。このイベントではメンバーとなっているイタリアワインの製造元が、ニューヨークでレストランオーナーやワイン販売店、そしてメディア関係者との交流をはかりながら、商品のプロモーションを行います。もちろん、彼らには既に輸入業者がいるため、販売ルートが確保されていますので、直接販売促進に結びつくというメリットがあります。また、業界のレベルアップをはかるために、質の高い商品に対して毎年メダルの授与を行っています。協会のメンバーによい意味でのプレッシャーを与えることで、商品の品質管理に切磋琢磨してもらいたいからです。

Q:初めてアメリカのマーケットに入ってくる人達にどのようなアドバイスをお願いします。
Dr. Caputo: 海外市場への進出は長期戦です。10年後のあり方を見据えたPR戦略を盛り込んだ、マーケティングプランを立てることが必須となります。短期で結果を出そうとしたプランニングでは成功は困難ですし、投資が無駄になる恐れもあります。イタリアのワインメーカーは、自国のみならず、フランス、オーストラリア、カリフォルニアワインと競合相手も多く、大変厳しい状況を強いられています。しかし、市場参入を計画的に行っている生産元は、広告代理店を利用したり、独自の広報活動を行うなどの地道な努力を続けることで販売を伸ばしています。その結果が、イタリアワインが米国における輸入ワインのNo.1になった理由だと確信しています。
# by pecopecoshokunews | 2008-04-10 23:27
今、ニューヨークのワインショップに変化が起きている。
従来、ワインを扱うリカーストアでは、カテゴリーを産地別に分けてあり、
目移りする程沢山の種類が陳列されている。
お目当てのワインをわかっている人が、自分の欲しいワインを探すのに
適した、「ライブラリー型」のお店だ。

しかし、ワインの需要と認知度が上がり、
「ウンチク」は語れないが、外食した時だけでなく、
家で気軽にワインを楽しみたいという人は増えている。
自分の好みに合ったワインが飲みたいという消費者の
素朴な欲求を満たしてくれる、利用しやすいワインショップが
ちらほらお目見えするようになった。

例えば、以前ペコペコで紹介したワインショップ、「ボトルロケット」。ここは食べ物とのペアリング、予算に合わせてワインを選ぶ、
「目的型」のワインショップ。「肉料理に合うワイン」といったような
紹介の仕方で、どのワインを選んでいいかわからないが、
ワインと頂く料理が決まっている人には嬉しい提案だ。

誰もがワインを気軽に選べるワインショップが今ニューヨークで人気!_d0142378_0211752.jpg
また、ハーレムに昨年オープンした「ザ・ワイナリー」 も客がワインを選びやすい
環境を提供している。オーナーのノブさんは食べる事が大好きで、
食事のお供にワインを飲むようになったのがきっかけでワインの虜に。
2年間の準備期間を経てお店をオープン。自分でワインの勉強を
始めたのもここ1年ぐらいとのことだ。「ワインを飲むのが好き」という
お客様に気軽にワインを楽しんでもらう事をお店のモットーとしている。


誰もがワインを気軽に選べるワインショップが今ニューヨークで人気!_d0142378_0175659.jpg
インテリアデザイナーでもあるノブさんは、客が店内に入った瞬間に、
家に招かれたようなアットホームな気分になれるよう、リビングルームを
イメージした内装をデザイン。また、ボトルのラベルはポストカードの
イメージを使ったユニークな物ばかり。ラベルがかわいいという観点から
ワインを選ぶこともここではおおいにありなのだ。そして、扱うワインは
すべて$20以下とお手頃な値段。それもノブさんの味覚で「美味しい」と
感じた物しか扱わない。一個人の味覚ではあるが、彼のセレクションに
対するお客さまの支持も高いそうだ。また、ボトル1本ごとにワインの
説明と合わせる料理のアドバイスを記載。「ワインの分け方は、
お客さまにわかりやすく、赤、白、渋め、甘め、ドライとおおまかにしています。
また、ワインを選ぶ時に必要な情報も簡潔にわかりやすく提供しています。」
と語るノブさん。


「ボトルロケット」や「ザ・ワイナリー」のように気軽にワインを選べる
ワインショップが増えれば、 ワインに馴染みの浅い一般消費者でも、
意外にすんなりとワインとの関係を築き始めることができるのでは
ないだろうか。また、個人のテイストでワインを選べる機会が
増えることで、「ウンチクは必要なく、自分の口に合う、
自分が美味いと思うワインに出会えればいい!」という考えを
持つ人も増えて行くかもしれない。
# by pecopecoshokunews | 2008-03-18 00:19
ポジティブな効果をもたらしたベンディーズアワード_d0142378_2434519.jpg

ペコペコで以前紹介した
ベンディーズアワード。
この賞は、「ニューヨークの顔」といっても過言ではない
ストリートベンダー(屋台)に贈られるもの。
人気投票によりトップ5のファイナリストを決定し、
その中から、審査員の選考でトップ3が選出される。
また、一般者の人気投票による
ピープルズ・チョイス・アワードを決定する。
このベンディーズアワードの目的は、ただ順位を
決めるだけではなくベンダービジネスの発展と
サポートの為でもある。

第三回目を迎えたこのアワードはメディアからの注目度が非常に高く、
全米ネットワークの朝のニュースでは、タイムズスクエアを背景に
ベンダー達が出演。新聞や雑誌等でも多く取り上げられた。
イベント前のパブリシティーは素晴らしく、各ベンダーとも
認知度向上につながったことは間違いない。そしてアワードに
参加することによりベンダー達にも変化が起きている。

アワードでファイナリストに残ったベンダーの一つ、
アストリアに店を構えるザ・キング・オブ・ファラフェル・アンド・シュワルマ
を訪れてみた。
そこにはお店の顔であるフレディーさんの姿はなかった。
同僚の人に彼は何をしているのか訊ねてみたところ、
マンハッタンの料理学校の夜間コースに通っているというではないか。
そこで唯一フレディーさんが働いているという週末の
昼間に再度彼を訪ねてみた。
本人曰く、シェフの資格を得るためにフルタイムで学校に
通っているとのこと。これから、レストランでの実践を学ぶ
インターンシップも始まり、ハンズオンのトレーニングを
受けるそうだ。「ベンディーズアワードでは第3位だったから、
来年は是非1位をとりたいんだ!そのためにも自分の料理の
レベルを上げることは必須。だから学校に通う事を決めたんだ。」
と語るフレディーさん。

マンハッタン45丁目と6Aveの角にある行列のできる屋台として
有名なクイックミール。ベンディーズアワードでは
ノミネートレストランの常連として既にかなり認知度や
人気度の高い屋台であった。一位獲得の期待が最も
高かったのだが、なんと審査員からの高得点が得られず
トップ3へ入賞せず。しかし、一般投票では最多得点を獲得し
「ピープルズ・チョイス・アワード」を受賞した。
代表のモハメッドさん曰く、ベンディーズアワードが
今迄以上にメディアで取り上げられたおかげで、
常連客に加えて、新しい客も増えて売り上げ向上に
もつながったとのこと。しかし落選は「恥」だと語る
モハメッドさん。来年の入賞を目指してメニューを増やし、
クオリティーも上げることを次回のアワードまでの
目標としている。

イベントの盛り上がりも落ち着いた今、
第4回ベンディーズアワードに
向けて、各ベンダー達は作戦を練り始めている。
上位入賞者のみが受ける事ができるメディアからの注目は、
売り上げアップの鍵となることが立証された今、
このアワードに興味を持たなかったベンディーズ達も、
その影響力を意識し始めているに違いない。そしてアワードが
もたらすポジティブな効果がニューヨークベンディーズ全体の
レベルアップにつながっている事は間違いであろう。
# by pecopecoshokunews | 2008-02-21 02:45

米系メディアも注目、ニューヨークのラーメン!_d0142378_13364071.jpg先日電車に乗っていると、ふと向いに座っている白人女性の手にする
フリー新聞にでかでかと掲載されているラーメンの写真が目に飛び込んできた。
内容が気になり、いつも下車する駅で同じ新聞をゲット。
早速ダイニングセクションを開いてみると、ニューヨークで最近注目されている
「ヌードル・ショップ」が紹介されていた。日本のラーメンだけではなく、
日本のそば屋、ベトナムや中国の麺専門店の紹介もされていた。

その中には、あのMOMOFUKU NOODLE BARの紹介も。
オーナーシェフのデイヴィット・チェン氏は、2007年のジェームス・ビアード・アワードで
新人賞を獲得。話題の人となった。彼のレストランを絶賛するアメリカ人は多いが、
日本人になじみのある麺、スープの味付け、そしてトッピングからは
随分とかけ離れているため、日本人からの評価はそれほど高くない。

日系のラーメン屋としてはMINCA RAMEN FACTORYが取り上げられ、
「the most authentic Japanese noodles (最も本格的な日本のヌードル)」
と紹介されていた。そこには「味噌味のスープで麺との愛称も抜群!」との
説明がつけられていたのだが、果たしてこれだけの説明で、
まだ伝統的な日本のラーメンになじみが薄いアメリカ人にピンとくるのだろうか…?
と疑問に思う方もいることだろう。しかし、他の情報誌、TIME OUTでは、塩、
みそ、豚骨、醤油など各ラーメンの味の違いを詳細に渡って紹介した記事が
掲載されており、これほど迄アメリカ人がラーメンに興味を持ち始めたのかと
驚かされる。

日本人のラーメンに対するこだわりは、ニューヨークでも共通で、
「美味しいラーメン屋はどこか?」というトピックがよく話題に上る。
ラーメンは味付けや麺の種類について各々好みが分かれるので、
ニューヨークでも一概には「このラーメン屋が一番おいしい!」とは
断言しづらいのが現実。しかし一つ言えることは、アメリカにラーメン文化が
浸透すればする程、ニューヨークにより多くの日系ラーメン屋が
オープンするようになるだろう。その結果、各々の好みによって
自分の好きな屋が選べる程、店舗数が増加することが予想される。

そして、「あそこのスープは20種類の食材が入っているらしい。」、
「●●のちぢれ麺の歯ごたえはたまらん。」などと、
ラーメン絡みのウンチクを語り出すアメリカ人が増えていくだろう。
今後、ニューヨークにてラーメン文化がどう発展するか、注目していきたい。
# by pecopecoshokunews | 2008-01-24 13:36
リアリティーショー出演のセレブリティーシェフは今?_d0142378_10314418.jpgまだまだリアリティー・ショーが人気のアメリカのテレビ業界。
雑誌プレイボーイの創設者、ヒュー・ハフナーと3人のガーフレンドとの
生活やラッパーのスヌープ・ドギー・ドッグの家族の生活に密着した
セレブリティー・リアリティーショー等、次々に新しいコンセプトの番組が
生まれている。

その中でも、ブラボTVが放送する「トップ・シェフ」
最近人気のシリーズとなっている。

バックグランドや出身地、得意料理分野などの異なるシェフが、
与えられた課題の中から料理を作り出し、 最後まで勝ち残った人が
トップシェフの座に輝くという内容。有名人に密着した
リアリティーショーとは違い、自らの才能で競い合う真剣勝負という緊迫感や、
参加者の感情があらわになる様子など、見ていてとても面白い。

記念すべき最初のシリーズに出演していたデイブが、
タイムズ・スクエア最西端にあるレストラン、Crave on 42で
エグゼクティブ・シェフとして運営に加わったと聞き、
早速、彼を訪れた。「トップ・シェフ」に関しての話を聞く事ができた。

テレビに出演したのは、アメリカで人気のある「クレイグズ・リスト」という
掲示板サイトで出演者の募集を見て応募したのがきっかけ。
数々の審査を受けた後、出演権を獲得した。
「トップ・シェフ」での思い出を尋ねたところ、
彼の反応はこうだった。

「いい経験にはなったけど、出演してもお金にはなら
ないよ。自分の認知度を上げるにはテレビ出演は最高だけど、
最後まで勝ち残らなければ意味もないんだよ。だって、
出演回数が少なければ、視聴者もあまり覚えていてくれないからね。
そして、番組終了後にテレビで得た認知度をどう利用するかも
その人次第だね。」


実際にデイブもテレビ出演直後、ニューヨークで新しいレストランの
立ち上げに加わるはずだったが、そのプロジェクトがうまく行かず、
ウェイターとして生活を支えていた。
そんな時、偶然にCrave on 42のオーナーと出会い、
同レストランのエグゼクティブ・シェフとしてレストランに加わるチャンスを得た。
テレビ出演のお陰ではなく、彼の実力と人柄で今の職に付く事ができたのだ。

彼の実力を十分に発揮できるレストランに落ち着いた今だからこそ、
テレビ出演の経歴を最大限に生かすことができるにちがいない。
「トップ・シェフ」のデイブをレストランのプロモーションにも生かし、
彼の料理を食べたくてわざわざ訪れる人や、メニューにサインをして
もらう客もいる。

たかがテレビ、されどテレビ。
でもそれを生かすも殺すもその人次第ということなのだろう。
# by pecopecoshokunews | 2008-01-06 10:19